千葉スペシャル。聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?
東京・有楽町の東京交通会館前の広場で営業する、平均15人待ちの靴磨き集団の事です。
今回は、屋号にもなっているオリジナル靴クリームの秘密や営業時間・料金についてご紹介したいと思います。
千葉スペシャルのクリームへのこだわり
千葉スペシャルを率いるのは千葉尊さん(60)。今から19年前の41歳の時に有楽町のガード下で靴磨きを始めたそうです。今となっては平均15人待ちの大人気店となりましたが、その秘密は門外不出のオリジナルクリームにあるようです。
まず、黒い革靴は三種類のクリームを使い分けるそうです。柔らかいクリームから徐々に硬いクリームへ。革の種類、状態に応じて、それぞれのクリーム量の「黄金比」を見つけ出します。
「防水スプレーなんて革を壊してるだけ。私の特製クリームを使っても他の人はうまく使えないと思います」
磨く姿勢、指の角度も重要らしく、千葉スペシャルの人が磨き始めると3分も経たないうちにエナメルのような光沢が出始めます。靴にもよりますが、通常は3ヶ月はもつそうです。
鶯谷の事務所にはクリーム缶が100個以上並び、休日には千葉さん自らが問屋を訪れ原材料を買い付けるとのこと。事務所の窓は一日中開けっ放しで
「ずっと事務所にいるとクラクラしてくるよ(笑)」
成分、製造法などはもちろん企業秘密です。
そして、オリジナルクリームなどを入れている道具類は全て空間デザインの最大手「乃村工藝社デザイン」だそうで、会長の渡辺勝さんが千葉スペシャルの常連客だったことがキッカケだそうです。
念願の千葉スペシャル
靴磨きに1時間待ちw pic.twitter.com/uE4G3egrbS— ymdtko (@takao2626) 2016年4月2日
千葉スペシャルの料金と営業時間
路上の靴磨きといえば、通常は料金2,000円~3,000円が相場だそうですが、千葉スペシャルは料金わずか「1,000円」。
「料金の安さは速さでカバーしている。平均10分。そっちのほうが靴にもいい」
午後になると現在4人の職人さんの横に15人程の行列が常にできるそうで、30分ほど待つことになります。常連客の50代金融関連会社の役員は、三ヶ月に一度、5日間毎日通い愛用の5足の靴を1足ずつ磨いてもらうそうです。
「他の店と比べて、ここは光沢が長持ちするし、ムラもでてこない。その間、汚れたら簡単に水拭きすればいいだけ。それ以外のことをすると余計なことするなって怒られますよ(笑)」
そんな千葉スペシャルの営業時間やお問い合わせはコチラです。
『千葉スペシャル』
東京都千代田区有楽町2-10-1 東京交通会館ビル1F 三省堂書店前
お問い合わせ:080-5374-2233
営業時間:9:00~19:00(月~金)
9:30~19:00(土)
定休日 :日・祝祭日
営業時間ですが、土曜日も遅くまでやっているんですね。平日とどっちが混むかわかりませんが、午前中のほうが空いているようです。
料金は1,000円で時間は約10分ほどです。
この話題の裏側を考える
千葉さんは、高校卒業後、溶接工、電気工、原子力発電所の作業員とさまざまな職を転々とし、行き着いた職業がこの「靴磨き屋」だったそうです。きっかけは「これまで培った技術をすべて活かせる」と、靴磨き業界に革命を起こすつもりでいたと語ります。
材木店で身につけたカンナがけの技術は靴磨きに活かせるし、溶接工で培った鉄が乾いた時に縮む感覚は靴磨きクリームが縮む感覚に通じていたそうです。さらに、原発で働いていたときに危険な成分に敏感になったことで、市販されているシューズケア商品の成分を見ればその「嘘」にも気づけたと言います。
今でこそ有名になりましたが、路上営業していた頃はチンピラにお金をせびられたり、宗教の勧誘をしつこく受けたりと、「社会の底辺」と見られていた事が一番腹立たしかったといいます。
私は靴磨き屋=人情物語というイメージがあったのですが、この千葉スペシャルの皆さんはそういう目で見られるのが嫌みたいですね。
「俺達は従来の靴磨き屋とは違うんだ!」という矜持のもと、「ビジネス」としてプライドを持って靴磨き屋をされているんだという印象を強くもちました。
私もいつか偉くなったら千葉スペシャルに並んでみたいと思います。はやくその地位に上り詰められるよう日々努力しないとですね。