夏の風物詩の一つである徳島県の『阿波踊り』。2017年度の開催が中止になるかもしれないという記事が週刊現代に載っていたのでシェアしたいと思います。
 記事を読んでみると、阿波踊りは従来から慢性的な赤字状態が続いているらしく、その額は4億3000万円にものぼるといいます。この事態を受けて主催団体である地元の徳島新聞社と徳島市観光協会が揉めているようなのです。
 歴史ある夏の風物詩が中止となってしまっては、多くのファンがきっと悲しむと思います。今回はなぜこのような事態に陥っているのか、徳島市観光協会幹部の人の話に迫ってみたいと思います。


2017年の阿波踊りが中止に!?徳島新聞がやりたい放題?

・チケットの問題
 本当に2017年の阿波踊りが中止となってしまうのでしょうか。週刊現代の記事には二人の徳島市観光協会幹部の話が掲載されていました。そのうちの一人であるA氏の話では、阿波踊りが赤字になっている最大の理由はチケットだと言うのです。
 阿波踊りの期間中(8月12日から15日)は踊りを鑑賞できる桟敷席(さじきせき)が10万席ほどあるそうなのですが、市の中心部にある人気の席の2万〜3万枚くらいのチケットを徳島新聞が取っていくそうなのです。その結果、多くの人が見たい日程や人気の連(踊り手の集団)が登場する席は、一般発売直後でさえも買えない状態となり毎年多くの苦情が寄せられているとのことです。

「徳島新聞は阿波踊りに口は出してもカネは出さない。それどころか、阿波踊りを単なる収入源にしているんです。(中略)すべての席をオープンな形で販売して収益に回したいのですが、優先的に良い席のチケットを徳島新聞が持っていく。徳島新聞がどこにどれだけチケットを売っているのか、こちらは詳細を把握できていません」
(引用:週刊現代 6月3日号)

 そこでA氏は『チケットをオープンにして販売したい』と徳島新聞側に話したところ、担当者から次のように脅されたといいます。

「おまはん、何を言うとんぞ!そんなことしたら徳島におれんようになるぞ」
(引用:週刊現代 6月3日号)

 どこまでが真実の話なのかは分かりませんが、週刊現代の記事が本当であればとんでもない話です。

・広告看板の問題
 阿波踊りでは企業名の入った広告看板が沿道を埋めるそうなのですが、その看板でも徳島新聞は大きな利益を上げているといいます。
 A氏の話によりますと、広告看板の作成は徳島新聞のグループ企業である『アイデル』という会社に大半が発注されるそうです。この会社は徳島新聞幹部の天下り先にもなっているといいます。そこに昨年だけで約2500万円もの発注をしていて、しかも随意契約(入札などの競争ではなく任意に適当と思われる相手と契約する方法)なのだそうです(『アイデル』の会社概要はこちら)。しかも、業務的にも受注金額に見合ったものではないとA氏は主張します。

「実際には看板は倉庫に保管してあり、デザインの変更などがなければ例年使い回しているものがいくつもある。しかし、同社は看板製作料を取っています。運び出して設置するだけにしては、2500万円は高すぎる」
(引用:週刊現代 6月3日号)

 さらに別の徳島市観光協会幹部であるB氏は次のように口を揃えて話します。

「看板公告を企業から取ってくるのは徳島新聞です。そして徳島新聞は15%も手数料を抜く。主催社は本来、運営費におカネを回す側なのに、むしろ取っていくのですから運営は厳しくなる一方です。5%でいいから手数料を安くしてくれとお願いしていますが、頑として聞いてくれません」
(引用:週刊現代 6月3日号)

 他にも徳島新聞は自社の社員100人ほどを”アルバイト”として阿波踊りに参加させ、日当は一人一万円以上、弁当代も観光協会に請求されるといいます。タクシー代まで支給されることもあるそうです。『アルバイトを減らしてボランティアを増やそう』と提案するも、徳島新聞に即却下されたそうです…。

行政的に許されない問題も

 徳島新聞は行政的にも許されないことをしている可能性があるといいます。それは阿波踊りで使用する資材の保管場所となる”倉庫代”の問題です。
 先程のA氏の話では、徳島県の物流の拠点である”マリンピア”という倉庫があって、そこは徳島県の土地で、流通業や港湾業に限り貸し出しの許可が下りるといいます。ところが、徳島新聞は『東海運』という会社の倉庫を借り、そこに阿波踊りの資材を保管させているというのです。徳島市観光協会には年間まとめて一括で450万円ほどの請求が来るそうですが、詳細が分からないので直接『東海運』と契約させてくれと申し込んだところ、徳島新聞はから断られたといいます。
 徳島県庁は週刊現代の取材に対して「目的外での利用は認められない」(港湾担当)と回答。使用許可証を見てみると「この許可によって生じる権利義務を他人に移譲することはできない」と明記されているそうです。ということは阿波踊りの資材をこの倉庫に保管し、さらに徳島市観光協会に”又貸し”することは法律上問題があるということになります。
 このような慢性的な赤字体質を打開すべく、2015年に徳島市観光協会が中心となって「10万円以上の高額契約は原則競争入札にする」「県内大学生によるボランティア組織を立ち上げる」などの提案を行ったそうですが、徳島新聞側の抵抗にあって実現していないといいます。

 今回、週刊現代はA氏とB氏の告発を受け、徳島新聞に質問状を送付したところ、阿波踊りを取り仕切る事業部長の渡辺一郎氏から「特に今の段階でお答えする義務はない」と回答があったそうです。

この話題の裏側を考える「住民訴訟もやむ無し!?」

 A氏とB氏の証言だけを見ると、明らかに徳島新聞は阿波踊りを利用して少しでも金稼ぎをしたいという魂胆が見え見えな印象を受けます。
 阿波踊りは県と市から合わせて年間3000万円にも及ぶ補助金を受けているれっきとした「公的な」事業です。このような徳島新聞の姿勢に対して『市民オンブズマンとくしま』の浜川健一運営委員長は「住民訴訟も検討しなくてはならない」とまで危機感をつのらせているようです。
 徳島新聞というのは徳島県内で7割ものシェアを誇る言わば徳島の政治経済の中心となるメディアだそうです。確かにそのような巨大メディアに対して地元の人達も強く言いづらいのは分かる気がしますが、その徳島新聞のせいで赤字か膨らみ、結果として阿波踊りが中止となってしまっては元も子もありません。2017年だけの中止ならまだしも、この問題が大きく取り扱われるようになれば地元財界へのダメージも大きいと思います。もう十分いい思いはしたでしょうから、問題が明るみになる前に、襟を正すべきだと思います。